第7回 過程を愉しむ、という事

「痩せるためにランニングを始めたんだけど、なかなか続かなくてね....」


よく聞く台詞だと思う。


そして、それを続けるための秘訣などについても、本や講演などでよく解説されている。

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例えばランニングの話で言えば、


「やり方」として、はじめから長い距離を設定せず、最初は、続けられる、短い距離でムリなく始めて見る。
「目標として」、何のために行うのか、あるいはダイエットが目的であればどのくらい痩せたいのか、具体的なゴールあるいは数値を定める。


このような感じだろうか。


私は、確かに具体的な目標は必要と感じる。
それは何を始めるに関しても同じで、ランニングにしても、英語や他の外国語を学習するにしても、「なにか」を「達成」するためには、まずその前に目標やその過程の中での小さな達成感を味わえるような設定をしているほうが、継続して物事を続けられると思う。


しかし、人は効果が表れない、あるいは表れにくいと、続かなくなる。つまり「達成に近づいている」という「目に見える何か」が無いと、なかなか人間は行動が伴わなくなる、つまり「続かない」とは、概ねそういうことになる。


一方、世の中には物事を続け、次々に目標を達成している人もいる。
実はそういう人には特徴がある。
それは、「目標を達成する以前に、その準備の過程から物事を愉しんでいる」という事だ。
それは原田陽子氏にも言える。


実は、そこを垣間みれる話がある。


この前もコラムでお伝えした「グラチェリュクスパーティー」。そこで原田陽子氏はシャンソンを披露した。
音大出身とはいえ、ジャンルが違うシャンソンという分野において、人前で歌うという事は、かなり練習を要しただろう、私はそう感じると同時に、「なぜ、シャンソンを始めたのか」にも興味があった。
そこで後日、原田陽子氏に尋ねた。


「なぜシャンソンを始めたのですか?」


「私は小さい頃からたまたまシャンソンを聴く環境があり、それが好きでした。ある時期、ふとしたきっかけで、現在のシャンソンの先生である荒木陽一氏の演奏を聴く機会があり、その声に感動し、お名刺を頂きました。いつかシャンソンを歌ってみたい、いつ教えて頂こうかいつからレッスンに通おうかと思いながら、ずっと
そのお名刺を大切に取ってました。」


このお話を聞いた時の原田陽子氏の表情は、シャンソンを学ぼうと考えていた時のわくわくする「想い」、それが蘇った感じだった。


原田陽子氏の中では、「シャンソンを習う」は「名刺をもらった時」から既に始まっていたのだ。
「シャンソンを学びたい」という「想い」を持ち、「名刺を大切に取っている」ところから「シャンソンを学ぶ」始まりなのである。
名刺を大切に取っておき、シャンソンを始める事を想像して、実際に学ぶまでの準備時間をも「愉しんでいる」のである。


始める「時期」というものも非常に大切だ。
例えば家庭の主婦であれば、子どもの成長時期で忙しかったり、親の介護であったりと家庭の状況によって、それを始められない事もある。
原田陽子氏も名刺をもらったその時は、「今はシャンソンを始める次期ではない」と判断したらしい。
その時期を待ち、始める事への「想い」を持って、日々、シャンソンを聴いたり、シャンソン教室がどのようなものかネットで調べたりして、身近に感じ、愉しむ、これも非常に大切な事だと感じる。
自分は「やりたい」と思うことを強行をすれば、それはどこか別の所に無理が出る。そうするとその「愉しみ」は続けるどころか、なくなってしまうかもしれない。


そうした難しい時期には、「想い」を以て「愉しみ」ながら、「準備」をするといいかもしれない。


ランニングであれば、どのランニングウェアを着て走るかネットで見てみたり、どこで走るのかを想像してみる。
英語であれば、どのようにして英語を学ぶかを調べて「愉しみ」、海外で現地の人と話をしている自分を想像して「愉しむ」。
その「準備」に時間をかけた人の方が、実際始めると目標を達成したり、継続できる率が上がると考えられる。


「愉しみ」を以て、その「準備」を行う。
「愉しみ」を見出しながら、目標に近づく。
これが物事を続ける事の源泉であって秘訣ではないか、原田陽子氏の話を聞いて、そう感じた。


「想い」を以て、「愉しんでいる」時点から、物事は始まっているのだ。

 

 



原田陽子流「丁寧な暮らし」について

原田陽子氏のお話をお聞きする中で、様々な「気づき」があります。それは生活の中における、ちょっとした悩み事や考え方を変える、ヒントになると感じました。

この「原田陽子流 丁寧な暮らし」というコラムを通じて、そうした生活に役立つ考え方、捉え方を記して行く事で、お読みになった様々な方のヒントになれば、と思っております。


書き手:フリープロデューサー / ディレクター
竹下和宏